ニチジョウの生活

　やっぱり私はKが好きだ。
メールが来ると、自然と顔がゆるんでしまう。
出せば大体返事が来る。
ほんのたまーに、Kが送ってくることもある。

　「男の子は用もないのにメールを送るのは苦手」
雑誌の特集には、よくそんなことが書いてある。
私は妙に納得して、自分から話題を見つけてはメールする。
Kが好きだって言ってたミルクレープ、食べてみたよとか。
今日バイト先で初めて劇薬売って緊張したとか。
返事が来ると急いで次のを書く。
そして送ったあとに「もっと話を広げればよかったな」と少し後悔する。
Kからは数秒で返事が来ることもあるし、突然切れることもある。
返事に迷ってるのか、どーでもいいのか・・・
嫌われたのかな?と、時々心配になる。

　1ヶ月前からすると、夢のような生活。
まさかまた話ができるなんて思ってもみなかったし。
別れてからぎこちないながらも友達になってまた壊れて。
その間、彼は何を思っていたんだろう?
気になるけれど、聞けるはずもなく。

　一昨日神田の町を歩いていたら、Kが4月から通うキャンパスの前を通った。
ここでKはつまんない講義中に寝たり、男友達と昼メシ食ってバカやったりするのかな。
見てみたいな。
Kも同じこと思ってないかな?
なーんてね・・・

　私の学校はKのとこみたいに都会じゃない。
てかむしろ田舎。
1，2年生の間はふたつの校舎に行かなくてはいけない。
湘南と伊勢原。
湘南なんて名前ばっかで、実際は山の上。
伊勢原は裏に酪農家があったりする。
裏には全体が公園になっている丘があって、今の季節は梅がきれい。
Kが見たら、きっと「梅のいい香りがする」って言うよ。
ウシのにおいも強烈だけどね（笑）

　もしも同じ学校だったら。
そんな叶うはずのない妄想をしてみる。
もしも同じ学校だったら、不器用な腕に無理やりムチ打ってお弁当作るのにな。
Kを想うと優しくなれる気がする。
それはきっと、Kが優しいからだね。